1012 連休初日

多摩川が危険水位です。後5時間の降雨と奥多摩ダム放水が鍵かと思います。

三井不動産から来たメールを転載します。

REALTY-news Vol.53|三井不動産リアルティ株式会社

イギリスでも小売店の苦境が続く

 

 

 アメリカや日本での「小売店(実店舗)」の苦戦が伝えられていますが、イギリスのそれもかなり苦しい状況が続いています。主因はアマゾン他のオンライン通販による侵食で、これにブレグジットの不確実性に伴う消費意欲の減退が加わります。

 アメリカで起きたシアーズトイザらスほかのような大規模倒産は多くはないのですが、大どころでは傘下に有名小売店チェーンを持つアルカディアが行き詰りました。同社の店舗はSC大手のインツに多く出店、インツの家賃売上げの4%を占めています。

 小売業の経営破綻がモール会社を直撃した典型的な例です。アルカディアは経営再建のために家賃の引き下げをインツに求めましたが、インツはこれはほかのテナントからの家賃引き下げ要求の連鎖を呼びかねないとし、モールの同業者と手を組んで拒否しました。

 しかし家賃を引き下げないとアルカディアは破綻してしまいます。破綻してしまうと家賃が入らなくなり元も子もなくなるので、インツとしては苦しいところです。

 日本でも有名な老舗高級百貨店のマークス&スペンサーも株価が1年で4割下落する等、苦戦が長引いています。イギリスの大企業の証は「FTSE100」という株価指数の構成銘柄になっていることですが、同社は先日、これから外されてしまいました。日本の日経平均(日経225)とは異なり、FTSE100はほぼ機械的時価総額基準で年に4回、リシャッフルされてしまうのです。

 マークス&スペンサーの店舗数は約1,000店で、不採算店の閉鎖を進めています。

 最も苦境にあるのはいわゆる「ハイ・ストリート」の商店群のようです。ハイ・ストリートというのはある程度以上の規模の商店街のことで「目抜き通り」とも訳されますが、そこまでの規模ではないものも含まれます。

 イギリスの500本のハイ・ストリートで今年上半期に閉店した店舗の数は2,868店で、これは毎日16店が閉店になっている勘定です。新たに開店したのは1,643店なので、閉鎖した店舗数に全く追いついていません。さらにこれらは「5店以上のチェーン」について捕捉されたもので、それ以下の零細な商店については分かりません。

 これらとは反対に好調なのは、オンライン通販のために用いられる物流倉庫なのですが、こちらにも徐々に変化が起きています。この件はいずれご報告いたします。

ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

 

今、注目の大型マルチテナント型物流倉庫

 

 

 今年7月31日にCBREが2019年第2四半期の物流施設の市場動向を公表しました。

 それによると、首都圏全体の大型マルチテナント型物流施設(LMT)の空室率は2.7%。実質賃料は4,200円/坪で対前期比+1.0%。今後2四半期(2019年第3Q-2019年第4Q)の空室率は0.7ポイント低下の2.0%と予想しています。また、近畿圏全体の空室率は7.1%。実質賃料は3,660円/坪で対前期比+2.5%。今後2四半期の空室率は2.5ポイント低下の4.6%の予想です。

 下記グラフからもわかるように、物流施設(LMT)は首都圏、近畿圏ともに好調な推移を見せています。特に首都圏では2018年第1Q、2019年第1Qに各20万坪クラスの新規供給があり、2019年第3Qにも20万坪クラスの供給が予定されているにもかかわらず、空室率低下が予測されるなど、旺盛な需要があるようです。この旺盛な需要を支えているのは、複数のeコマース関連企業の拡張需要や、3PL※1をはじめとする物流企業の拡張需要と考えられます。少量・多品種の荷物を短期間に個人宅に届けるサービスは、現代人にとって既に不可欠になっており、今後はより複雑化しながら拡大を続けると考えられます。

 特に大型マルチテナント型物流施設は、複数の企業の物流拠点であることから3PLにも対応しやすい利点があり、効率の良い物流が実現出来るとされているため人気が高いのですが、同時に交通利便性の高さ※2が求められる施設でもあります。首都圏では開発適地が少なくなってきたと言われ、物流用地についても土地価格の上昇が顕著なようです。

 今後は、既述のように需要は非常に旺盛なので、既存倉庫の建て替えなどを含めた取り組みが必要になってくるものと考えます。

※1 3PL(サードパーティーロジスティクス)とは、企業の抱えるさまざまな業務の内、物流部門を第三者企業に委託する業務形態です。 ※2 物流そのものでは高速道路ICからの距離、都心部までの距離が重要視されます。これ以外にスタッフの確保という観点から、駅距離など通勤利便性も重視されます。

株式会社 工業市場研究所 川名 透